精油(エッセンシャルオイル)として売られているものには、きちんとした定義があります。
ここでは、精油の性質や定義について、詳しく解説していきましょう。
精油(エッセンシャルオイル)の定義
一般的に、植物油と聞くと、オリーブオイルやサラダ油、ゴマ油などが浮かびますが、これらは脂肪酸とグリセリンから成っており、精油とは全く別の性質のものです。
そもそも、精油(エッセンシャルオイル)には、油という字が含まれているものの、厳密には油分ではないため、油脂には分類されません。
なぜ、精油という名前になったのか、詳しいことははっきりしませんが、精油は水より軽く、油のように水面に浮かぶ性質があるため、油という表現が使われたとされています。
アロマテラピーにおける精油は、天然の化学物質が数十から数百種類集まった有機化合物であり、それらを高濃度に含有した有効成分をもつ揮発性の芳香物質です。
植物が光合成をおこなう際に生まれるエネルギーを用いて、二次生産される有機化合物が精油のもとである芳香物質にあたります。
精油(エッセンシャルオイル)の形態と特性
精油を構成する有機化合物の形態はいくつかあり、『アルコール類』、『ケトン類』、『エステル類』、『アルデヒド類』、『炭化水素類』、『フェノール類』の大きく6つです。
また、精油を定義する特性をまとめると以下のようになります。
・植物特有の香りをもつ。
・揮発性があり、脂溶性・親油性である。(水に溶けにくく、油に溶けやすい)
・植物本来の作用(有効成分)があり、なおかつ濃縮されている。
・植物から抽出された100%天然素材であり、毒性も併せ持つ。
・油の名がつけられているが油脂ではない。
なぜ植物(ハーブ)から精油がとれるのか
植物から精油が抽出できる部位は、草花の種類ごとに異なっており、花、葉、根などそれぞれ芳香物質を多く含む場所は違っています。
例えば、ミントなら葉、カモミールなら花という風にそれぞれ芳香物質の含有箇所が違うものです。
そもそも、なぜ植物(ハーブ)は芳香物質を作るのでしょうか?
それは、植物の生育上の理由、つまり、以下のような理由からだと考えられます。
・葉や実を虫や鳥から守る。(忌避効果)
・芳香物質で虫や鳥を呼び寄せて受粉したり、種子を運搬してもらう。(誘引効果)
・雑菌やカビ、病害虫から守る。(抗菌効果、防虫効果)
・他種の植物の育成を妨害する。
・植物の生育で不必要となった老廃物の代謝。
・人間でいうホルモン物質としての働き。(神経伝達)
・芳香物質の揮発冷却作用により、太陽の熱から葉や花を守る。
これらの理由から作られている芳香物質の性質をさらに凝縮したものが精油であり、それを人間の病気治療や健康増進、美容に利用しているのがアロマテラピーとなるわけです。