ディルは、地球海沿岸部から西アジアを原産地とするセリ科の一年草です。
葉を生のままで使用する場合と、種子を乾燥させて使う場合があります。
ディルの特徴
ディルは、古代ノルウェー語で『おだやかにする、なだめる』という意味を持ち、その名の通り、ディルの種子を煮だした煮だしたお茶は、
胃腸薬や鎮痛薬、赤ん坊や子供を安眠させる薬として使われています。
涼し気な強い香りとピリッとした辛さが特徴で、キャラウェイに似た芳香をもつスパイスです。
その歴史はとても古く、世界最古の文明メソポタミア文明において、紀元前3000年ごろの粘土板に、セミュール人が薬として使用した記録が残っているほか、5000年ほど前にエジプトの医者が使用していたという記録もあります。
日本へ伝来したのは、16世紀末ごろであり、スペインから持ち込まれたため、日本のスペイン名『イネルド』を語源とする『イノンド』という呼び名が有名です。
ディルの効果と薬効
胃腸の働きを改善し、消化を助けて胃もたれを防止する効果や鎮痛、鎮静効果をもつため、風邪や食べ過ぎた際にディルを摂取すると良いとされています。
前出のように、赤子の夜泣きを防止するほか、母乳が出やすくなる作用もあるので、授乳中に母親が飲むお茶としても人気です。
ディルの育て方
育てやすさ ★★★★★★
種まき 3月上旬~4月下旬、9月上旬~10月下旬
開花 5月上旬~7月下旬
収穫 3月上旬~5月下旬、11月上旬~12月下旬
・土壌を選ばず、ある程度の日当たりと水はけのよい場所ならどこでも生える。
・根が傷みやすい性質があるので、種を直接まく。
ディルの使い方・代表的な料理
ディルは、ヨーロッパの小児用腹痛止め薬である『グリップウォーター』に配合されており、ディルの種子を水につけてつくる『ディルウォーター』は家庭でも良く飲まれています。
スカンジナビア地方では、魚介類やじゃがいもを使った料理に良く利用されており、フランスでは、ケーキやクッキーなどに練りこんだり、お菓子のトッピングとしても人気です。
ディルの葉やつぼみなどは、肉や魚料理やスープに、若葉はクリームチーズやバターに混ぜ込んで、種子や花は酢やオイル、ピクルス液に香りを移して使います。
また、ハンバーガーの間に挟まれているお馴染みのピクルスの香りは、このディルによるものです。
ディルを使ったおすすめのレシピ
【ディルを食べる豆サラダ】
【材料】
豆類の水煮 1缶(ひよこ豆、キドニービーンズ、大豆など)
セロリ 2分の1本
タマネギ 4分の1個
コーン カップ半分
ディルの葉 刻んで大さじ3~4程度
★オリーブオイル 大さじ2
★レモン汁 大さじ3
★砂糖 小さじ1~2
★にんにく すりおろし小さじ半分
塩コショウ 適量
【作り方】
1.豆類は水切りし軽く洗う。セロリと玉ねぎはスライスする。ディルの葉は細かく刻む。
2.★の調味料を混ぜ合わせたら、1を投入ししっかりと和える。
3.塩コショウで調味し、数時間冷蔵庫で馴染ませたら完成!
ディルの香りがたまらない豆サラダです。どの種類の豆でも美味しく仕上がります。
タマネギの辛味が気になる方は、少し水にさらしてから使うと良いです。
レモン汁の半量をワインビネガーやフルーツビネガーに変えると、また違った味わいになります。
コーンは無理にいれなくても良いですが、ほどよく甘味が出て食べやすいです。
冷蔵庫で4~5日保存が効きますので、ぜひ常備菜サラダとして作ってみてくださいね。